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耳にブッさしてるイヤホンを引き抜いて校門をくぐる。すがすがしい空気に包まれた朝の校庭には朝練のためにアップしている運動部ぐらいしかいない。みんながんばるなぁ~なんてのんきに思いながらも、自分も朝練をするために早めに登校しているため人のことなどいえないのだが、それでもがんばるなぁ、なんて思ってしまうのは生きた年数によるものだろう。
くぁ、と大きく欠伸をしてipodを鞄にしまった。
さぁ、今日も長い一日がはじまる。
***
準備をして体育館へといけばボールのつく音とバッシュが擦れて聞こえるスキール音がする。はて、校舎から遠いこの第三体育館の使用者は少ないはずだが、朝からわざわざこっちの体育館に来る人など珍しい。かくいう自分も珍しい人間ではあるのだが、ちゃんとした理由があるためこちらへと赴いているのだ。誰が好き好んで部室からも校舎からも遠い体育館で練習するものか。
奇特な人間がいたものだなぁ。そんなことを考えながらガラリ、と戸を引いて立ち止まり、「おはようございます、よろしくお願いします」と大き目の声で体育館に向かって一礼する。そして体育館に足を踏み入れて気づく。
誰もいなくね?
「・・・・まじか」
ここで頭をよぎるのは少し前に聞いた噂話。第三体育館にバスケをする幽霊がでるだなんて、そういうありきたりな話。しかし、ボールの音とスキール音が聞こえるのに入ったら誰もいない、とか、噂のまんまで、ざっと一瞬で血の気が下がる。
まじか、まじか。まじだったのか。いや幽霊というか怨霊と呼ばれる得体のしれないやつらと戦ったことがあるためそれなりに耐性はある。しかし、しかし、だ。ここは平成の世。源平合戦という戦場でなければ怨霊とかいう敵がいる異世界でもない。平和な、ある意味「現実世界」だ。この世界でオカルト的な現象といえばやはりまぁそういうわけでいやしかし朝から活動する幽霊がいるだなんてそんな話聞いたことが、
「すみません」
「ぎゃあああああああああああああ」
迷走する思考をシャットダウンするかのように聞こえた声に声を張り上げて横へと飛んだ。思わず構えて戦闘態勢をとってしまったが、ここは戦闘もなにもない平和な時代だ。まったくもって必要ない。それによくよく見ればぽかん、とあっけにとられている男の子がいる。
あぁ、黒子だ。
「・・・そんな反応されたの、初めてです」
「はは、はは・・・は・・・、だろうね・・・」
普通の人は叫びはするだろうが、いままさに敵を打ち取らんとするような体制まで瞬時にとれないだろう。とるはずがない。
何度でもいうが、この世界は平和な時代だ。
「・・・なにか、やってらっしゃるんですか」
「あ、はい・・・武道を・・・少々・・・趣味で・・・」
「なるほど、わかりました。だからそんな構えなんですね」
「えぇ・・・そんな感じです・・・」
エンカウント2回目の黒子は、とってもマイペースだった。
***
第三体育館といえば黒子が練習している体育館だ。しかしそれは夕方、部活が終わった以降の話であって朝練もここだなんて聞いてない。ってか知らない。聞いてみれば、朝練もこっちの体育館でやりはじめたんだとか。第一体育館はどうも手狭らしい。帝光中のバスケ部は部活動に熱心な生徒が多いようだった。
「高野さんはどうしてこっちへ?」
「黒子さんと同じ理由ですよ」
「でも、こちらまで来るほどには混んでませんよ」
疑問符を浮かべる黒子に笑顔が固まる。いや、確かにそうなんだが・・・そうではるのだが。どうしても避けたい理由があった。
「確かにそうですけど、リングとか独占したいんですよ。集中したいし。そう考えると、こっちに来ちゃうんです」
ぐっと足を曲げてボールを放つ。高く放られたボールはリングに触れず、ネットさえ揺らさず落ちた。
「・・・そうでしたか。それはなんとなくわかります。設備とかは第一体育館の方が良いですけどね」
「そうですよねー。こっちも同じぐらいの設備にしてくれたら良いんですけど」
第一体育館は第三まである体育館の中で一番広く、設備も一番充実している。そのため自主練をする際には、みんなほぼ第一体育館へと集まるのだ。そのため人数が多いとどうしても混み合ってしまい、手狭になってしまう。黒子が朝練をこっちでやる理由はそれだ。あといつも第三体育館でやっていて勝手がいいということもあるだろう。
自分も同じではあるが、最大の原因は朝練をしているメンバーにある。いるのだ、あいつらが。キセキの世代と呼ばれるようになる、あの色とりどりのメンバーが。
目を付けられたからにはとにかく関わらず逃げて逃げて逃げ通さなければいけない。これまでの経験からして絶対に平穏ではいられない。だから、まず、関わらないようにしなければならないのだ。こういう小さなところからでも。
「高野さんはきれいなフォームでシュートしますね」
とかいいつつ黒子っちと仲良く練習してるんだけどね!!!
「あぁ、ありがとうございます」
内心半泣きになりながらも黒子からの賛辞には丁寧に返した。
あぁ、今回も平穏に生きられないのだろうか。
時折飛んでくる言葉に反応しながら、この先のことを思うとため息がでた。
くぁ、と大きく欠伸をしてipodを鞄にしまった。
さぁ、今日も長い一日がはじまる。
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準備をして体育館へといけばボールのつく音とバッシュが擦れて聞こえるスキール音がする。はて、校舎から遠いこの第三体育館の使用者は少ないはずだが、朝からわざわざこっちの体育館に来る人など珍しい。かくいう自分も珍しい人間ではあるのだが、ちゃんとした理由があるためこちらへと赴いているのだ。誰が好き好んで部室からも校舎からも遠い体育館で練習するものか。
奇特な人間がいたものだなぁ。そんなことを考えながらガラリ、と戸を引いて立ち止まり、「おはようございます、よろしくお願いします」と大き目の声で体育館に向かって一礼する。そして体育館に足を踏み入れて気づく。
誰もいなくね?
「・・・・まじか」
ここで頭をよぎるのは少し前に聞いた噂話。第三体育館にバスケをする幽霊がでるだなんて、そういうありきたりな話。しかし、ボールの音とスキール音が聞こえるのに入ったら誰もいない、とか、噂のまんまで、ざっと一瞬で血の気が下がる。
まじか、まじか。まじだったのか。いや幽霊というか怨霊と呼ばれる得体のしれないやつらと戦ったことがあるためそれなりに耐性はある。しかし、しかし、だ。ここは平成の世。源平合戦という戦場でなければ怨霊とかいう敵がいる異世界でもない。平和な、ある意味「現実世界」だ。この世界でオカルト的な現象といえばやはりまぁそういうわけでいやしかし朝から活動する幽霊がいるだなんてそんな話聞いたことが、
「すみません」
「ぎゃあああああああああああああ」
迷走する思考をシャットダウンするかのように聞こえた声に声を張り上げて横へと飛んだ。思わず構えて戦闘態勢をとってしまったが、ここは戦闘もなにもない平和な時代だ。まったくもって必要ない。それによくよく見ればぽかん、とあっけにとられている男の子がいる。
あぁ、黒子だ。
「・・・そんな反応されたの、初めてです」
「はは、はは・・・は・・・、だろうね・・・」
普通の人は叫びはするだろうが、いままさに敵を打ち取らんとするような体制まで瞬時にとれないだろう。とるはずがない。
何度でもいうが、この世界は平和な時代だ。
「・・・なにか、やってらっしゃるんですか」
「あ、はい・・・武道を・・・少々・・・趣味で・・・」
「なるほど、わかりました。だからそんな構えなんですね」
「えぇ・・・そんな感じです・・・」
エンカウント2回目の黒子は、とってもマイペースだった。
***
第三体育館といえば黒子が練習している体育館だ。しかしそれは夕方、部活が終わった以降の話であって朝練もここだなんて聞いてない。ってか知らない。聞いてみれば、朝練もこっちの体育館でやりはじめたんだとか。第一体育館はどうも手狭らしい。帝光中のバスケ部は部活動に熱心な生徒が多いようだった。
「高野さんはどうしてこっちへ?」
「黒子さんと同じ理由ですよ」
「でも、こちらまで来るほどには混んでませんよ」
疑問符を浮かべる黒子に笑顔が固まる。いや、確かにそうなんだが・・・そうではるのだが。どうしても避けたい理由があった。
「確かにそうですけど、リングとか独占したいんですよ。集中したいし。そう考えると、こっちに来ちゃうんです」
ぐっと足を曲げてボールを放つ。高く放られたボールはリングに触れず、ネットさえ揺らさず落ちた。
「・・・そうでしたか。それはなんとなくわかります。設備とかは第一体育館の方が良いですけどね」
「そうですよねー。こっちも同じぐらいの設備にしてくれたら良いんですけど」
第一体育館は第三まである体育館の中で一番広く、設備も一番充実している。そのため自主練をする際には、みんなほぼ第一体育館へと集まるのだ。そのため人数が多いとどうしても混み合ってしまい、手狭になってしまう。黒子が朝練をこっちでやる理由はそれだ。あといつも第三体育館でやっていて勝手がいいということもあるだろう。
自分も同じではあるが、最大の原因は朝練をしているメンバーにある。いるのだ、あいつらが。キセキの世代と呼ばれるようになる、あの色とりどりのメンバーが。
目を付けられたからにはとにかく関わらず逃げて逃げて逃げ通さなければいけない。これまでの経験からして絶対に平穏ではいられない。だから、まず、関わらないようにしなければならないのだ。こういう小さなところからでも。
「高野さんはきれいなフォームでシュートしますね」
とかいいつつ黒子っちと仲良く練習してるんだけどね!!!
「あぁ、ありがとうございます」
内心半泣きになりながらも黒子からの賛辞には丁寧に返した。
あぁ、今回も平穏に生きられないのだろうか。
時折飛んでくる言葉に反応しながら、この先のことを思うとため息がでた。
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