×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
本丸は広い。刀剣男士は四十振り以上あるからか、大部屋から小部屋までたくさんの部屋が用意されている。政府から確認できる刀剣男士を揃えろと、暗に言われているようで、渋面を禁じ得ない。
審神者の仕事は、刀剣男士を率いて、過去を修正しようとする"敵"を滅し、阻止することだ。そのためには、強い力が必要である。赴く戦場によっては、短刀や打刀、太刀や大太刀など、適正を考える必要もあるだろう。だから数が必要であるというのはわかる。わかるが、彼らを現代に召喚するということを、理解してなのだろうか。理解しているならば、軽々しく、刀剣男士を揃えろなどとはいえないはずだ。
面と向かっての指令はないが、台所の充実度や部屋の多さ、設備の大きさなどを考えると、どうしても、せっつかれているように思えてならない。こんのすけはそんなことはないというが、彼は政府の手の者だ。どこまで信じたものかわからない。
「じゃあ、お願いしていい?」
本丸は広い。任務は戦闘であるから、そっち方面もそれなりに充実している。
その一つがここ、道場である。
「ねぇ、本当にするの?乱藤四郎さん」
清光との手合せは、広い庭で行った。ゆくゆくは、ここも内番のために使用することになるだろう。あとは、洗濯物を干す場所とか。
戦闘は野外であるし、できるだけ同じ状況で手合せをしておきたかったのだ。なにせ久しぶりだ。できれば一生、武器など手に持ちたくなかったが、まぁ仕方がない。
初陣前に、ある程度慣れておかなければならない。地面に足を取られて転倒などすれば、そこで自分の命が刈り取られる可能性があるのだ。微々たるものだろうがなんだろうが、そうなる可能性が少しでもあるのなら、潰しておきたいのは普通だろう。そのうち、前線へでる回数も減っていくことだろうし、いま必要ないとも思っていた。そういうわけで、道場は締め切っていたのに。
立つつもりなどなかったのに。
「……ねぇ、乱藤四郎さん」
「んっもう、往生際が悪いよ、主さん」
ちゃき、と短刀の切っ先が向けられる。さらりとしたきれいな髪が揺れて、軍服を改造したかのような服装の、スカートが踏み出した振動で波打つ。頭に乗る軍帽は邪魔なのか、その鍔を掴んでひょいっと投げ捨てた。
姿は美少女。
しかし少年。
目は獰猛だ。
喰われそう。
「主」
審判役として、乱藤四郎さんと自分の間に立つ清光が、至極不機嫌な声で呼んだ。諦めろ、とか、腹を括れ、とか、そういう意味じゃない。約束を破ったね?という意味合いだ。
しかし、しかしだ。
鍛刀で初めての刀剣男士である乱藤四郎は引かない。
この子が顕現した際に、手に持っていた刀がいけないのか。
自分が女であることがいけないのか。
なんなのか。
挨拶もそこそこに、彼は言い放ったのだ。
『ねぇ、主。僕と乱れよ?』
なんつーことをいうんだこの刀剣男士は。
絶句もいいところで、清光との口論で察するに、要は手合せしたいということらしい。が、それを許す清光じゃない。放心しているところをこんのすけに叩きおこされ、目の前の言い合いに口をはさめずに三十分ほど経過したのち、清光を丸め込んで手合せを受けたのだ。
突き刺さる視線は仕方ない。仕方のないことではあるが、あのままでは平行線であったし、一応は納得させたのだ。強引ではあったが、どうしようもない。どうしようもないことなんだよ、清光。
冷たい目の中にある傷ついた感情に、土下座したくなる。約束した直後の反故だ。清光の気持ちもわかるけれど、けれど。
あとで目一杯、甘やかそう。
そう決めて、構えた。
清光は不機嫌そうに片手をあげる。乱藤四郎さんは嬉々として柄を握り直す。それにぴたり、と標準を合わせて、息を吐き出した。ゆっくりと瞬きをする。せっかく少しだけできた清光との信頼関係にひびを入れた彼には、痛い目を見てもらおう。
すっと息を整えて意識を切り替えた瞬間に、清光の手が振り下ろされた。
■
「俺との手合せなんて必要あったの?」
手入部屋へと乱藤四郎を押し込んで、治療し、眠らせたあとだ。夜も深く、月明かりがまぶしい中で各自の部屋へと戻ろうとしていた時に、後ろからついてくる清光がそういった。声は、なんとも平坦なもので、疑問に思うぐらいには感情がない。呆れたように振り返り、「当然、あるよ」と短く答えた。清光は無表情だ。
「でも、主は弱くないじゃない」
「弱いよ。少なくとも君よりは」
「あの後にはそうとは思えない」
ぶっちぎりではないが、そこそこ優勢を保ったまま、乱藤四郎さんには勝った。自分もそれなりに怪我をしたし、乱藤四郎さんに至っては中傷だ。さすが刀剣男士、手練れである。そんな彼らに本気でこられたら手加減などできるはずもなく、少し痛い目を見てもらう予定を変えて、叩きのめすつもりでやったのだ。しかし、やりすぎたと思う。まさか中傷にさせてしまうとは。手入部屋で「ごめんなさい」と頭を下げれば「僕が見誤っただけだから気にしないで」とむしろお礼と謝罪を言われた。
彼らにとってはこんな小娘でも、主であるのだから、手合せとはいえ怪我をさせてしまったことを気にしていたのだ。大丈夫、としつこく心配する乱藤四郎を寝かしつけたばかりだというのに。
能面のような、感情もなにもない顔をした清光に、小さく息を吐く。
「ここ、二十数年。真剣など握ってなかったんだ。戦うなら少しでもあの感覚を思い出さないと、戦場にはでれない。腕も落ちてる。だから頼んだんだ」
「主は、十分じゃない?」
「このままで生き残れる?」
清光は答えない。
「これから敵が強くなっていくかもしれない。前線に出ることがなくなっても、不意打ちを食らうかもしれない。自分の身ぐらい守れないと、君たちを置いていくことになる」
ここでやっと、清光が表情を表に出した。
ぐしゃり、と顔が歪む。苦笑して、手を握った。
「君たちは刀剣で、わたしは主だ。でもね、こうやって一緒に過ごすうちに、君は家族のような、大事な存在になるんだよ。だめかなぁ」
「だめじゃない」
鼻声で、それでもはっきりと清光は即答した。ぽろり、と零れた涙が、月の光を反射して光る。まるで宝石のようだ。
「だから強くありたいんだよ。少しは信じてほしいなぁ」
「しっ信じてるよ!当たり前じゃん!」
「じゃあ、これからも手合せよろしくね」
「うん!」
きゅっと握り返された手に、笑う。
存外、可愛らしい子だ。
擦る手を止めて、涙を拭う。嬉しそうに笑う清光に、自分も破顔したのだった。
===========================
鍛刀の初刀剣男士は乱藤四郎でした~~。
しおがプレイしていてそのままなのを出しています。
乱ちゃんはあんな感じなのに男って感じだととても萌えます。
次はペダルかきたいな~~~~
===========================
鍛刀の初刀剣男士は乱藤四郎でした~~。
しおがプレイしていてそのままなのを出しています。
乱ちゃんはあんな感じなのに男って感じだととても萌えます。
次はペダルかきたいな~~~~
PR