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「清光ー」
縁側で日向ぼっこしている清光を呼ぶ。すぐさま反応して、こちらまで歩いてきた。自分が向かって歩いている最中だったというのに、健気なことだ。待っていても良かったのに。
「なに?主。初めての鍛刀は終わったの?」
「うん。こんのすけに手伝ってもらってね」
「ふーん」
「新しい子はまだ来ないよ。しばらくかかるって」
「へぇ」
無関心な風を装っているようだが、気にしているのがバレバレである。
愛されたいが故に、愛されいてると信じていたいが故に、彼は近侍にこだわる。そして次にくる刀剣男士をよしとしない。随分と駄々をこねられて、鍛刀にとりかかるまでに二週間ほど費やした。彼と自分の間に信頼関係を構築するには、もう少しかかるだろうと思っていたけど、この程度で済んでよかったというべきなのか、どうなのか。僅かでも絆をもてたけれど、まだまだこれからだろうなぁと思うと、ため息を禁じえない。
じぃ、と見上げたままで何も話さない自分に、清光は大人しく次の言葉を待っている。素直で良い子だ。ただ、焼きもちと承認欲求(だと思う)が強いだけで、可愛い良い子なのだ。
「主?」
「あぁ、ごめんごめん」
こてん、と首を傾げた清光に、笑って手を伸ばす。頭をなでてやると、嬉しそうに目を細める。青年の体をしているし、生まれた年数を考えれば自分よりも随分と年上であるのに、まるで子供のようだ。可愛がらないわけがない。
「清光に手伝って欲しいことがあるんだ」
「なになに?なんでもやっちゃうよ、俺」
「頼もしいね。じゃあお願いしようかな」
にこり、と笑う。清光も笑う。
「今日から自分と手合わせして欲しい」
ぴしり、と固まった笑みに、片手にぶら下げていた刀を持ち上げた。
無名刀だ。変に銘のある刀を使うものなら、きっと拗ねてしまうだろうという推測から、こんのすけに用意してもらった。
清光から少しだけ距離を取り、地面と平行に胸の前まで持ち上げて、すらり、と刀を抜いた。
なかなか良い作りをしているなぁ、と検分していれば、清光は無表情をこちらを見ている。硬い表情だ。次にくる言葉はわかっている。
「いやだ」
予想通り。
「どうして?」
「主は俺が守るから、そんなの必要ない」
これも、予想通り。
「だめ。自分も戦場に出るんだ。戦える力がないと生き残れない」
「だから、俺が死なせないって」
「うん、清光のこと信頼してる。けれど、万が一、ということもある」
「ないよ」
「全ての物事に絶対ってないんだよ、清光」
ぐっと言葉につまり、眉を寄せて俯く。自分の方が背は低いから、どんな顔をしているか真正面から見えた。
それに悲しくなりつつも、刀を仕舞い、腰にさして、両手でぶら下がっているだけの手を握った。低い、体温だ。
「大丈夫、これでも戦闘経験はあるんだ」
「こんのすけはお前が平和な国で生きていたって言ってた」
「そうだね。でもちょっとした事情があってね、戦争に参加したことがあるんだ」
「なにそれ」
「これは教えられない」
「なんで」
「これは一生、自分の胸の内に留めて墓まで持っていくと決めているから」
ぎゅっと、握る手に力こめて、微笑む。
「清光でも教えられない。誰にも教えるつもりはない」
「……あっそ」
きゅっと口を窄めて、拗ねたような顔になる。そのことに一安心をして、笑みを深めた。さぁ、ここからだ。
「でもやっぱさ、戦う必要ないよ。主が前線にでてくること、きっとないしさ」
「清光」
「うん、わかってる。いってたことよくわかる。だから、俺が守るからその間に逃げちまえばいいんだ」
「清光、わかってないね」
名案だとばかりに笑う清光に、少しだけ低くした声をぶつける。
何をいっているのか、理解しているのだろうか。
それてってつまり、清光を犠牲にして生き延びろといっているんでしょう?
そんなこと、許すものか。
「清光、君に死んで欲しくない。壊れて欲しくない。一緒に生きて欲しいんだよ」
「主、それは間違ってる。俺たちは刀だ。主を守るためにある存在なのに、主が刀を守ってどうするのさ」
「君がいま、この手にある刀のようだったら、そうだったかもしれないね。でもさ、こうやって話をして、一緒にご飯を食べて、暮らして、どうしてそう思えるの?」
清光の目を真っ直ぐに見る。綺麗な赤だ。柘榴のよう。食べれたら美味しいのだろう、なんて頭の片隅で変なことを考えた。
「大事な人は守りたいよ、自分は。清光は?違う?」
「……違わない」
頬を赤く染めて、やはり拗ねたようにいう。可愛らしいことだ。
握っていた手を握り返されて、嬉しくて笑う。
「主は死なせない。俺も死なない。だから、手合わせしよ」
「ありがとう、清光」
「でも、俺以外とはやめてよね」
「はいはい」
「絶対だからね?!」
「わかってるよ」
ははは、と笑いながら、二人で距離を取る。腰にさした刀を抜いて、構える。清光も、すらり、と己自身を抜いて、構えた。
綺麗な立ち姿だ。
一瞬だけ見惚れ、ぎゅっと柄を握る手に力を入れて、地面を蹴った。
さぁ、清光。
一緒に生き残ろう。
====================================--
清光との手合わせでした。
跳躍主は守られてるだけはいやなので自分から戦場にでる子です。
でもブランクがあるので、清光に鍛えてもらおうっていう話ですね。
最近は夢でなく、BLばかりで活動しているので、放置状態ですみません。夢は妄想してますよ!とうらぶしかりペダルしかり。
ただ、その、まなみさんがくとおのださかみちの関係性が尊すぎてしばらく帰って来れません。
まなみ夢のネタもあるっちゃあるので、いつか形にできたらいいなって思ってます。
とにかくしおは元気です。
いろいろ続き書きたいけど時間がなーあー。
縁側で日向ぼっこしている清光を呼ぶ。すぐさま反応して、こちらまで歩いてきた。自分が向かって歩いている最中だったというのに、健気なことだ。待っていても良かったのに。
「なに?主。初めての鍛刀は終わったの?」
「うん。こんのすけに手伝ってもらってね」
「ふーん」
「新しい子はまだ来ないよ。しばらくかかるって」
「へぇ」
無関心な風を装っているようだが、気にしているのがバレバレである。
愛されたいが故に、愛されいてると信じていたいが故に、彼は近侍にこだわる。そして次にくる刀剣男士をよしとしない。随分と駄々をこねられて、鍛刀にとりかかるまでに二週間ほど費やした。彼と自分の間に信頼関係を構築するには、もう少しかかるだろうと思っていたけど、この程度で済んでよかったというべきなのか、どうなのか。僅かでも絆をもてたけれど、まだまだこれからだろうなぁと思うと、ため息を禁じえない。
じぃ、と見上げたままで何も話さない自分に、清光は大人しく次の言葉を待っている。素直で良い子だ。ただ、焼きもちと承認欲求(だと思う)が強いだけで、可愛い良い子なのだ。
「主?」
「あぁ、ごめんごめん」
こてん、と首を傾げた清光に、笑って手を伸ばす。頭をなでてやると、嬉しそうに目を細める。青年の体をしているし、生まれた年数を考えれば自分よりも随分と年上であるのに、まるで子供のようだ。可愛がらないわけがない。
「清光に手伝って欲しいことがあるんだ」
「なになに?なんでもやっちゃうよ、俺」
「頼もしいね。じゃあお願いしようかな」
にこり、と笑う。清光も笑う。
「今日から自分と手合わせして欲しい」
ぴしり、と固まった笑みに、片手にぶら下げていた刀を持ち上げた。
無名刀だ。変に銘のある刀を使うものなら、きっと拗ねてしまうだろうという推測から、こんのすけに用意してもらった。
清光から少しだけ距離を取り、地面と平行に胸の前まで持ち上げて、すらり、と刀を抜いた。
なかなか良い作りをしているなぁ、と検分していれば、清光は無表情をこちらを見ている。硬い表情だ。次にくる言葉はわかっている。
「いやだ」
予想通り。
「どうして?」
「主は俺が守るから、そんなの必要ない」
これも、予想通り。
「だめ。自分も戦場に出るんだ。戦える力がないと生き残れない」
「だから、俺が死なせないって」
「うん、清光のこと信頼してる。けれど、万が一、ということもある」
「ないよ」
「全ての物事に絶対ってないんだよ、清光」
ぐっと言葉につまり、眉を寄せて俯く。自分の方が背は低いから、どんな顔をしているか真正面から見えた。
それに悲しくなりつつも、刀を仕舞い、腰にさして、両手でぶら下がっているだけの手を握った。低い、体温だ。
「大丈夫、これでも戦闘経験はあるんだ」
「こんのすけはお前が平和な国で生きていたって言ってた」
「そうだね。でもちょっとした事情があってね、戦争に参加したことがあるんだ」
「なにそれ」
「これは教えられない」
「なんで」
「これは一生、自分の胸の内に留めて墓まで持っていくと決めているから」
ぎゅっと、握る手に力こめて、微笑む。
「清光でも教えられない。誰にも教えるつもりはない」
「……あっそ」
きゅっと口を窄めて、拗ねたような顔になる。そのことに一安心をして、笑みを深めた。さぁ、ここからだ。
「でもやっぱさ、戦う必要ないよ。主が前線にでてくること、きっとないしさ」
「清光」
「うん、わかってる。いってたことよくわかる。だから、俺が守るからその間に逃げちまえばいいんだ」
「清光、わかってないね」
名案だとばかりに笑う清光に、少しだけ低くした声をぶつける。
何をいっているのか、理解しているのだろうか。
それてってつまり、清光を犠牲にして生き延びろといっているんでしょう?
そんなこと、許すものか。
「清光、君に死んで欲しくない。壊れて欲しくない。一緒に生きて欲しいんだよ」
「主、それは間違ってる。俺たちは刀だ。主を守るためにある存在なのに、主が刀を守ってどうするのさ」
「君がいま、この手にある刀のようだったら、そうだったかもしれないね。でもさ、こうやって話をして、一緒にご飯を食べて、暮らして、どうしてそう思えるの?」
清光の目を真っ直ぐに見る。綺麗な赤だ。柘榴のよう。食べれたら美味しいのだろう、なんて頭の片隅で変なことを考えた。
「大事な人は守りたいよ、自分は。清光は?違う?」
「……違わない」
頬を赤く染めて、やはり拗ねたようにいう。可愛らしいことだ。
握っていた手を握り返されて、嬉しくて笑う。
「主は死なせない。俺も死なない。だから、手合わせしよ」
「ありがとう、清光」
「でも、俺以外とはやめてよね」
「はいはい」
「絶対だからね?!」
「わかってるよ」
ははは、と笑いながら、二人で距離を取る。腰にさした刀を抜いて、構える。清光も、すらり、と己自身を抜いて、構えた。
綺麗な立ち姿だ。
一瞬だけ見惚れ、ぎゅっと柄を握る手に力を入れて、地面を蹴った。
さぁ、清光。
一緒に生き残ろう。
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清光との手合わせでした。
跳躍主は守られてるだけはいやなので自分から戦場にでる子です。
でもブランクがあるので、清光に鍛えてもらおうっていう話ですね。
最近は夢でなく、BLばかりで活動しているので、放置状態ですみません。夢は妄想してますよ!とうらぶしかりペダルしかり。
ただ、その、まなみさんがくとおのださかみちの関係性が尊すぎてしばらく帰って来れません。
まなみ夢のネタもあるっちゃあるので、いつか形にできたらいいなって思ってます。
とにかくしおは元気です。
いろいろ続き書きたいけど時間がなーあー。
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