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こういう運命にあるのだと、悟ったのはいつだったか。
室町時代に流されたときだっただろうか。いや、もう少し前になるのだろうか。そういえば早々に悟ってあきらめたなぁ。所詮自分は彼女のおもちゃなのだと。暇つぶしなんだと、そう思い始めたのはいつだったか。途方もない過去の話だ。
精々生き延びてやるよ、と思ったのも。
「おはよーございまーす・・・」
「あぁ、高野、おはよう」
くぁ、と大きなあくびをしつつ、すれ違ったイルカ先生に挨拶をした。眠そうに目をこすっている姿が幼稚なのか、子供好きなイルカ先生は微笑んで「ちゃんと寝なさい」といってすれ違いざまに頭をなでていく。完全なる子供扱いに一発目は戸惑ってしまってたが、すぐに慣れた。世界を跨げば、大体が幼児化している。慣れない筈がないのだ。
「きちんと眠りたいんだけどねぇ」
今日は夢見が悪かった。起きたら疲れているとか反則である。
もうひとつ、大きな欠伸をして教室へと入った。この世界で通う、忍者養成アカデミーだ。
***
「・・・であるからして、・・・となり」
授業は思いのほか退屈しなかった。
だって忍者だよ?忍者。室町時代の忍術学園にも通っていたことはあったが、あれは現実味があり、というか現実味しかなかった忍者だ。こちらはチャクラとかで炎や分身や土や水を操ったりとファンタジー要素が盛りだくさんである。しかもこれが自分で扱えちゃったりするんだぜ?ワォ、なんて楽しいんでしょう!
なんて思うかよお姉さま。
黒板に書かれた変な模様と文字とを書き写し終わり、ぼんやりと外を眺める。見上げる空は青くて小鳥なんかが平和に飛んでいる。そう、平和だ。平和そのものがいまの時間軸だ。知る限り、今だけだ。この平和で、平穏で、穏やかな時期は。そのうち戦争へと発展していく。
戦争。
この二文字がいつだって纏わりつく。どの世界へと跳んでも、必ず巻き込まれる。そういう星の生まれなのだと思えど、釈然としないのはまだあきらめ切れていないからか。あぁ、確かに平凡に死なせてくれとは思っているから、あきらめきれていないといえばあきらめきれていないのか。でも、平凡に死なせて欲しいだなんて、些細な願いでしょう?なぁ、そう思わない?お姉さま。
「今日の授業はここまで。復習を忘れないように!」
つらつらと思考を巡らせていると、いつの間にか授業が終わっていた。黒板を見ると良くわからないことになっていたから、どうやら先に進んでいたらしい。あぁ、次の筆記落としたな。ため息をついてノートを閉じる。さて、次は昼ごはんかぁ。
「空!一緒にご飯食べよってばよ!」
毎朝お弁当を作れるのは教育の賜物だよなぁ、なんて昔お世話になった師匠や先生や先生の世話を焼いていた女の子を思い出して感謝していると、よく通る声でそんな言葉が聞こえてきた。あまりにも大きな声すぎて耳が痛い。
「ナルト・・・隣にいるんだからそんなに大きな声ださなくても良いよ・・・」
「あっ悪かったってばよ!俺、おなかすいちゃっててさぁ」
申し訳なさそうにえへへ、と笑うナルトにため息をつく。結構面倒くさい子なんだけど、素直でいい子なんだよなぁ。「次から気をつけて」といえば「わかったってばよ!」なんて威勢の良い返事が返ってくる。うん、いい子だ。いい子なんだ、けども、できればいやかなり関わりたくないんだよねぇ。隣で「今日のご飯はーなんと!でっかいボールおにぎりだってばよ!」なんて一人で騒いでいるナルトを横目で眺めつつ、気づかれないようにまたため息をついた。
この世界はナルトを中心にして動く。なんたって、主人公だから。だからこの子といることで物語の渦中へと巻き込まれてしまう。それはいやだ。できることなら距離を置きまくって回避したい。戦争が起ころうが関係のない、一番被害が届かない場所でこの世界での一生を終わらせたい。そう考えているのなら、まず火影の加護の下でこのアカデミーに通っているのは矛盾が生じるのだけど、卒業までの我慢だ。まずこの世界で身を守る術を覚えておかないとのたれ死ぬのが目に見える。自分は平凡に生きて平凡に死にたいのだ。
そう、平凡に、死にたいのだ。
「空は毎日きれいなお弁当だな。自分で作ってんのか?」
「あ、うん、まぁ・・・」
「へぇー俺と一緒で一人なのにすごいってばよ!」
「そ、そうかな・・・」
「火影のじっちゃんがさ、空を見習えってすっげーうるせぇの。でもじっちゃんの言ってる意味、なんとなくわかったってばよ!」
にこーっと笑っておにぎりを頬張るナルトに苦笑する。
困ったことに、懐かれているのだ。一番接触を回避したいナルトに。理由はなんとなくは察しているが、これは喜ばしくない流れである。しかも目立たず影を薄くを心がけたいところなのに、ナルトといることで目立ってしまっているし、本当に困った。
どうしたものか、とナルトの話に適当に相槌を打ちながら聞き流してお弁当を食べる。
ちらり、とナルトの後ろ、教室全体を見渡すが、やはりよくない感情を含んだ目やひそひそ話が頻発していた。ナルトの立場やこのアカデミーでの扱いを考えると、こうなることはよくわかる。昔から気に食わないとは思っていたが、実際に近くで体感してみると本当に気に食わない。
困ってはいる。困ってはいるが、気に食わないものは気に食わない、のだ。
「・・・ナルト、おにぎりだけなの?」
「おう!俺、料理できないんだってばよ」
いつかはさようならをするのだけど。
「だから自分から料理しないと上達しないよ?朝ちゃんと起きなよ」
「だって眠いんだもん」
「起きなさい」
自分がどう思われてしまうなど、もう遅いのだ。ならば、せめて普通に、公平に接してやろうと思う。
「んー・・・俺、料理、苦手なんだってばよ・・・」
「・・・今度料理の本、貸してあげるよ」
絆されたわけじゃ、ないんだよ?
室町時代に流されたときだっただろうか。いや、もう少し前になるのだろうか。そういえば早々に悟ってあきらめたなぁ。所詮自分は彼女のおもちゃなのだと。暇つぶしなんだと、そう思い始めたのはいつだったか。途方もない過去の話だ。
精々生き延びてやるよ、と思ったのも。
「おはよーございまーす・・・」
「あぁ、高野、おはよう」
くぁ、と大きなあくびをしつつ、すれ違ったイルカ先生に挨拶をした。眠そうに目をこすっている姿が幼稚なのか、子供好きなイルカ先生は微笑んで「ちゃんと寝なさい」といってすれ違いざまに頭をなでていく。完全なる子供扱いに一発目は戸惑ってしまってたが、すぐに慣れた。世界を跨げば、大体が幼児化している。慣れない筈がないのだ。
「きちんと眠りたいんだけどねぇ」
今日は夢見が悪かった。起きたら疲れているとか反則である。
もうひとつ、大きな欠伸をして教室へと入った。この世界で通う、忍者養成アカデミーだ。
***
「・・・であるからして、・・・となり」
授業は思いのほか退屈しなかった。
だって忍者だよ?忍者。室町時代の忍術学園にも通っていたことはあったが、あれは現実味があり、というか現実味しかなかった忍者だ。こちらはチャクラとかで炎や分身や土や水を操ったりとファンタジー要素が盛りだくさんである。しかもこれが自分で扱えちゃったりするんだぜ?ワォ、なんて楽しいんでしょう!
なんて思うかよお姉さま。
黒板に書かれた変な模様と文字とを書き写し終わり、ぼんやりと外を眺める。見上げる空は青くて小鳥なんかが平和に飛んでいる。そう、平和だ。平和そのものがいまの時間軸だ。知る限り、今だけだ。この平和で、平穏で、穏やかな時期は。そのうち戦争へと発展していく。
戦争。
この二文字がいつだって纏わりつく。どの世界へと跳んでも、必ず巻き込まれる。そういう星の生まれなのだと思えど、釈然としないのはまだあきらめ切れていないからか。あぁ、確かに平凡に死なせてくれとは思っているから、あきらめきれていないといえばあきらめきれていないのか。でも、平凡に死なせて欲しいだなんて、些細な願いでしょう?なぁ、そう思わない?お姉さま。
「今日の授業はここまで。復習を忘れないように!」
つらつらと思考を巡らせていると、いつの間にか授業が終わっていた。黒板を見ると良くわからないことになっていたから、どうやら先に進んでいたらしい。あぁ、次の筆記落としたな。ため息をついてノートを閉じる。さて、次は昼ごはんかぁ。
「空!一緒にご飯食べよってばよ!」
毎朝お弁当を作れるのは教育の賜物だよなぁ、なんて昔お世話になった師匠や先生や先生の世話を焼いていた女の子を思い出して感謝していると、よく通る声でそんな言葉が聞こえてきた。あまりにも大きな声すぎて耳が痛い。
「ナルト・・・隣にいるんだからそんなに大きな声ださなくても良いよ・・・」
「あっ悪かったってばよ!俺、おなかすいちゃっててさぁ」
申し訳なさそうにえへへ、と笑うナルトにため息をつく。結構面倒くさい子なんだけど、素直でいい子なんだよなぁ。「次から気をつけて」といえば「わかったってばよ!」なんて威勢の良い返事が返ってくる。うん、いい子だ。いい子なんだ、けども、できればいやかなり関わりたくないんだよねぇ。隣で「今日のご飯はーなんと!でっかいボールおにぎりだってばよ!」なんて一人で騒いでいるナルトを横目で眺めつつ、気づかれないようにまたため息をついた。
この世界はナルトを中心にして動く。なんたって、主人公だから。だからこの子といることで物語の渦中へと巻き込まれてしまう。それはいやだ。できることなら距離を置きまくって回避したい。戦争が起ころうが関係のない、一番被害が届かない場所でこの世界での一生を終わらせたい。そう考えているのなら、まず火影の加護の下でこのアカデミーに通っているのは矛盾が生じるのだけど、卒業までの我慢だ。まずこの世界で身を守る術を覚えておかないとのたれ死ぬのが目に見える。自分は平凡に生きて平凡に死にたいのだ。
そう、平凡に、死にたいのだ。
「空は毎日きれいなお弁当だな。自分で作ってんのか?」
「あ、うん、まぁ・・・」
「へぇー俺と一緒で一人なのにすごいってばよ!」
「そ、そうかな・・・」
「火影のじっちゃんがさ、空を見習えってすっげーうるせぇの。でもじっちゃんの言ってる意味、なんとなくわかったってばよ!」
にこーっと笑っておにぎりを頬張るナルトに苦笑する。
困ったことに、懐かれているのだ。一番接触を回避したいナルトに。理由はなんとなくは察しているが、これは喜ばしくない流れである。しかも目立たず影を薄くを心がけたいところなのに、ナルトといることで目立ってしまっているし、本当に困った。
どうしたものか、とナルトの話に適当に相槌を打ちながら聞き流してお弁当を食べる。
ちらり、とナルトの後ろ、教室全体を見渡すが、やはりよくない感情を含んだ目やひそひそ話が頻発していた。ナルトの立場やこのアカデミーでの扱いを考えると、こうなることはよくわかる。昔から気に食わないとは思っていたが、実際に近くで体感してみると本当に気に食わない。
困ってはいる。困ってはいるが、気に食わないものは気に食わない、のだ。
「・・・ナルト、おにぎりだけなの?」
「おう!俺、料理できないんだってばよ」
いつかはさようならをするのだけど。
「だから自分から料理しないと上達しないよ?朝ちゃんと起きなよ」
「だって眠いんだもん」
「起きなさい」
自分がどう思われてしまうなど、もう遅いのだ。ならば、せめて普通に、公平に接してやろうと思う。
「んー・・・俺、料理、苦手なんだってばよ・・・」
「・・・今度料理の本、貸してあげるよ」
絆されたわけじゃ、ないんだよ?
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