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ふらっと徒然に。
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 どうしてこうなってしまったのかなんて考えたくもない。

「それではこの合宿の間、マネージャーを務めてくれる高野空さんだ」
「高野さん、ご挨拶よ」

 諸悪の根源は綺麗な顔をして笑っている。
 西園寺玲。どこかで聞いた名前だとは思っていたけど、まさか、そのまさかだなんて思うはずもないじゃないか。

「えー・・・、はじめまして。この選抜合宿の間、マネージャーを努めさせて頂きます、高野空と申します。よろしくお願いいたします」

 ガタン、と椅子から立ち、ざっと見回して簡単に名乗り、最後に一礼して座る。隣の西園寺玲は上出来、とばかりににこにこ笑ったままだ。こちとら突き刺さる視線や「誰こいつ・・・」「女・・・?」とか漏れ聞こえてくる声に仏頂面になりたいのを我慢して無表情だというのに。
 バレないようにじろり、と西園寺玲を睨めば、にこり、と笑って立ち上がる。
 おい。何をする気だ。

「みんな、静かに。彼女はサッカー選手ではないにしろ、スポーツに携わる人の一人です。みんなのことをある程度は理解し、サポートしてくれるはずです。監督も私も面接をして決めたマネージャーよ。安心してくれて良いわ」

 面接も何もないだろう。若干青い顔をして咳払いしてるあのメタボとは今日初めてついさっき会ったばかりだぞ!!

「では選抜合宿を開始します。みんな、がんばってね」

 綺麗な顔をした悪魔のせいで更に居心地が悪くなったのはいうまでもない。


***


 コーチに従い、ドリンクとタオルの準備をする。うら若き少年達は好奇心と猜疑心の視線を突き刺してグラウンドへと向かっていった。西園寺玲があんなことをいったばかりに、少年たちの興味を一身に集めることとなってしまった。やってられない。
 選抜合宿というのだから、ここに残った少年達はそれなりにサッカーが上手く、そのことにプライドがあるだろう。努力もしてきただろう。なのに突然現れた見たこともない人間の、しかもサッカーを知らない人間のサポートを受けろといわれて納得するだろうか。いや、しないだろう。先ほどの雰囲気から察するに。お前俺らについてこれんの?本当にサポートできんの?という疑いの目がほとんどだ。西園寺玲め。こんなところに引っ張り込みやがったかと思ったらこれだ。父よ、なぜ西園寺玲の誘いに乗ったんだよ。

「おい」

 ため息をついてがしゃがしゃとドリンクを振っていたときだ。後ろから声をかけられた。面倒だから放置してドリンクを造り続ける。

「おい。呼んでんのが聞こえないの?お前のその耳はなんのためについてんの?ボケるには早くない?見たところ僕らと同じ年齢だろ、分別がつく年齢なんだから相応の反応したらどうなわけ」
「すみません、明らかに不機嫌そうな声だったので反応するのをためらってしまいました。それに呼びかけられただけでは自分に対してなのかよくわかりません」
「は?この場にはお前しかいないだろ。そのぐらい察したらどうなの」
「自分はこちら側を向いているので後ろなんて見えませんし、誰かいてもおかしくないでしょう」

 気配でわかるけど。まぁ普通はわからないよね。

「・・・はぁ、マネージャー」
「なんでしょうか」

 このやり取りをしている間、頑なに振り向かずドリンクを作っていたら相手が折れた。だって急いでいるし、ぶっちゃけ相手にしている暇はない。
 くるりと振り向いて、ため息をついた。やはりか。

「僕は椎名翼。こっちが黒川。っておい、笑ってんなよ」
「すまん」
「はぁ、すでに知っているは思いますが私は高野空といいます。なにか用でしょうか」

 椎名翼。一番面白そうに自分をみていた人間だ。こいつは気に入られなければかなり厄介だなぁ。めんどくさいのでそんなことはしないが。あぁ、いやなところに突っ込んでくれたな、父よ。

「玲が連れてきたから確かなんだろうけど、お前、なんでここにいる?」
「西園寺さんに頼まれたので」
「へぇ、それ以外に意味はないって?」
「・・・えぇ、まぁ」

 最後の一本を籠に放り込みながら肯定すれば、椎名翼が思いっきり顔を歪めた。なるほど、どうやらこのやる気のなさが気に食わないらしい。少年たちとしてはこの選抜に本気で挑んでいるのだから、中途半端なサポートで逆に邪魔すんなよ、とでもいいたいのだろうか。

「安心してください。頼まれたからにはきちんとサポートしますし邪魔はしません」

 何かいわれる前にそう言い放ってやった。ぐっと押し黙る椎名を一瞥し、籠を抱えてその場を離れる。
 あーぁ、これで面倒なことになったかなぁ。でも適当なこといって仲良くなるの面倒だし、まぁいいか。
 

***


 突き刺さる視線を無視してボールを集める。自分がサッカーをしていたなら練習がてら、ボールを蹴り上げて籠に入れるのだろうけど、残念ながら自分はバスケットボール選手だ。おとなしく手で拾うことにしているが、それではつまらないのでシュートの要領で片手で籠に放っている。いまのところパーフェクト。はずした数だけ走り込みを増やすか。
 そんなことを考えながらひたすらボールを集めては籠に放る。椎名から突き刺さる視線は無視だ無視。

「・・・おい翼、あいつ」
「そうだな、外してないしまじめにやってる」
「・・・わかってんならそんなに睨まなくても良くないか」
「誰が」

 丸聞こえだぞ、少年たちよ。


***

 グラウンドが騒がしい。取ってくるようにいわれた資料を抱えて急いできてみればなぜかグラウンドが騒然としている。少年達の声がうるさい。いったい何が、

「西園寺さ、」
「あ、空ちーん」

 西園寺玲に駆け寄って話しかけようとしたら妙な呼び方で呼ばれた。こんな妙な呼び方をするのは、一人しか知らない。
 ばさばさ、と足元に抱えていた資料を落として、ゆlるくりと振り返る。先ほどは遠くから聞こえてきたのに、振り向いたらもう目の前にいた。

「む、紫原、ぅげ」
「空ちーん、あいにきたよー」

 馬鹿みたいに背の高い紫原に包み込まれるようにぎゅう、と抱きしめられる。ていうかつぶれるつぶれる!!身長差を考えろ紫原!!

「あー!!紫原っちずるいっスよ!!!俺だって空っち抱っこしたいっス!!!」

 犬が背中のほうから抱きついてきて紫原と犬にサンドイッチにされた。てか黄瀬、やはりお前も来てたのか。

「ていうかお前ら苦しいやめろ!!!みんな止めてよ!!!」

 紫原の胸に埋まっていた顔をどうにかずらして叫んだ。叫んだ先では赤司様が腕を組んで面白そうにこちらを見ている。クソ面白がってやがるあの魔王様が。緑間はあきらめているのか、ラッキーアイテムらしきぬいぐるみを抱えなおしている。・・・めっちゃ大きい男がぬいぐるみとは・・・。いや、やめておこう。青峰に至ってはだるそうに赤司の隣に立っているだけだ。クソが!!頼りにならねぇ。

「く、黒子さあああん」
「はい、なんでしょう」

 最後の頼みの綱、とばかりに叫んでみたらすぐ隣から声がした。びっくりした。いつもなら気配でわかるのだけど、今の混乱した状態では気づけなかったようだ。

「ほら、黄瀬くん、離れてあげてください。紫原くん、・・・は離したくないならせめて腕を緩めてあげてください。高野さんが窒息してしまいますよ」
「ちぇーっ、黒子っちがいうなら仕方ないですけど、紫原っちばかりずるいっスー!」
「黄瀬ちんうるさい。ひねりつぶすよ?」
「こらこら紫原くん。黄瀬くんも、紫原くんはよく我慢したほうですよ?」

 ぎゅーっと抱きしめたまま、というか抱えあげられている状態なわけだが、これで我慢したというのだろうか。いつもよりスキンシップが激しいのだが。

「それはしばらく高野さんに会っていなかったので、爆発した結果です」
「あぁ・・・そうですか・・・」

 心読まないくれるか、黒子さん。
 いえ、つい。

「紫原さん、久しぶりですね」
「空ちんーほんとだよーなんでこんなとこにきちゃってんのー?」
「それは君らに言いたい。ていうか、ごめん・・・怖いから下ろして・・・?」

 なんで?という顔に一発ぶちかましてやろうかと思った。いま現在、紫原と顔の位置が同じところにある。つまり、人間の日本の腕に支えられて地上から非常に高い位置にいるわけだ。不安定すぎて怖い。それに周りを放置してのこのやり取りのせいで、グラウンドが怖いくらいに静まり返っている。怖い、怖すぎる・・・。視線が痛いったらありゃしない。

「やーだー」
「やだじゃありません。いま、この合宿でのマネージャーをしているんです。ちゃんといいましたよね?お仕事あるんです」
「えー・・・」
「赤司さん」
「紫原、下ろしてやれ」
「・・・あとでお菓子ちょーだい」
「はいはい」

 やっと下ろしてくれたけど、ぴたっと横に張り付いて離れない。なんでそんなに懐いてんだよ。ていうか。

「主犯は赤司さんですね」
「おや、疑問符さえつけてくれないのか」
「必要がどこに」
「ないね。正解だから」
「・・・とりあえず説明をしてください。西園寺監督にも」
「いいだろう」

 あぁ、先が思いやられる。




*************

最後ごめんなさい、だれた。
ずっと考えていたのを形にしてみました。笛!×黒バス。
年代違いますけどパラレルワールドっていうこととサッカーとバスケってことでいけるだろ!!!ていう適当な感じで妄想してました。
書きたいところ書いたので、もうこれ以上書くことないでしょう。楽しかった!!!



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