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最初はとても心地よくて、ゆらゆらした意識の底に眠っている感覚だった。
抱かれる腕が柔らくて気持ちが良い。撫でられる手が優しくてうれしい。舌触りの良い甘い飲み物はおいしい。聞こえる声は幸せそのもののようで、こちらまで幸せになった。とても幸せだった。記憶の底に沈む苦い過去に蓋をして、ゆらゆらとした優しい世界に身を浸していた。
とても、幸せだった。
***
なにがどうなってこうなったのか自分は知りたい。
心底そう思ったのは早いもので、物心ついた頃だ。大体三歳ぐらいだろうか、気づいたとき、思い出したときは大いに戸惑ったし悩んだ。過去の、自分が死んだときの記憶があるとは、いったいどういうことなのだろうか。これまでの自分の体験からしてありえなくはない、なんて思うけども、ありえてほしくなかったと思う。生まれ変わったということは、もう自分ではないのだ。この体の人生を歩む、ということであるのに、この過去の、前世の記憶というものは非常に邪魔であると思うのだ。しかも特殊な体験を嫌というほどしてきている記憶だ、ないほうが幸せに決まっている。それに意識は成人済みの人間であるというのに体は幼児であるなんて、ただの拷問だ。ぷにぷにの手足、舌足らずな言葉、子供用の食事。あぁ。惨い仕打ちである。
この体の人生を奪ってしまった自分こそが、惨いのだけど。
「フェリド、王子が泣いております。抱いてあげてくれませんか?」
「この間やったら泣かれただろう。アルのほうが良いんじゃないのか」
「あらあら、よほどショックだったようですね」
「我が子に泣かれればそりゃショックだろうさ」
ぐるぐるとめぐっていた思考に割り込むように聞こえてきた声に反応し、しばし考えて母の膝から降り、泣いて羨ましいだのなんだのわめく子供に近寄った。さらり、と手触りの良い銀色の髪に触れる。目に水分を貯めて見上げてくる弟は女の子かと思うほどに可愛らしい。母譲りの美貌でこのまま育ってもらいたいものだ。
「ほら、シアン、なかないの」
「でも、ははうえばかりずるい。ぼくもひざのうえにのせたい!」
そっちかよ!びしっと突っ込みたいがそこは我慢し、「わがままいわないの」と弟であるシアンの頭をぎゅうっと抱え込んだ。なにするんだよ、なんて言いながらも嬉しそうに抱きついてくる弟は本当に可愛らしい。それをほほえましく眺めている父と母もいて、なんて幸せなことだろう、と思う。それと同時に、何故前世の記憶をもって生まれてきてしまったのだろう、と。
前世の記憶さえなければこの体の自我は自由に育ち、この立派な父と母の子として育っただろうに、何故、記憶を持って生まれ変わらなければならなかったのだろう。自分はあそこで終わってしまえばよかったのに、そもそもあそこで終わることが普通のことであるというのに。何故。
「ほら、子供はそろそろ寝る時間だぞ」
「ちちうえ」
「どうした?アルと一緒に寝るんだろう?」
「・・・ちちうえとねる」
「・・・!!!!」
「ずるいちちうえ!ぼくもいっしょにねる!!」
「ふふふ、ではみんな一緒に寝ましょう」
何故、またもや知っている世界にいるのだろう。
ここはファレナ女王国だ。
「シアン、そんなにくっつくとねにくいよ」
「ぼくはへいきだもん」
「・・・ちちうえ、ははうえー」
「ほら、シアン、もう少し父のほうによりなさい」
「やだ」
「シアン、父の近くはいやなのか・・・?」
「じゃあわたしがちちうえのちかくにいくー」
「それもやだ!」
「シアン?!」
「ふふふふ」
どうして、王子の双子の姉として生を受けているのだろう。
さらり、と見慣れない自分の銀髪にため息をついた。ついでにぎゃーぎゃー騒ぐ男たちにも。
抱かれる腕が柔らくて気持ちが良い。撫でられる手が優しくてうれしい。舌触りの良い甘い飲み物はおいしい。聞こえる声は幸せそのもののようで、こちらまで幸せになった。とても幸せだった。記憶の底に沈む苦い過去に蓋をして、ゆらゆらとした優しい世界に身を浸していた。
とても、幸せだった。
***
なにがどうなってこうなったのか自分は知りたい。
心底そう思ったのは早いもので、物心ついた頃だ。大体三歳ぐらいだろうか、気づいたとき、思い出したときは大いに戸惑ったし悩んだ。過去の、自分が死んだときの記憶があるとは、いったいどういうことなのだろうか。これまでの自分の体験からしてありえなくはない、なんて思うけども、ありえてほしくなかったと思う。生まれ変わったということは、もう自分ではないのだ。この体の人生を歩む、ということであるのに、この過去の、前世の記憶というものは非常に邪魔であると思うのだ。しかも特殊な体験を嫌というほどしてきている記憶だ、ないほうが幸せに決まっている。それに意識は成人済みの人間であるというのに体は幼児であるなんて、ただの拷問だ。ぷにぷにの手足、舌足らずな言葉、子供用の食事。あぁ。惨い仕打ちである。
この体の人生を奪ってしまった自分こそが、惨いのだけど。
「フェリド、王子が泣いております。抱いてあげてくれませんか?」
「この間やったら泣かれただろう。アルのほうが良いんじゃないのか」
「あらあら、よほどショックだったようですね」
「我が子に泣かれればそりゃショックだろうさ」
ぐるぐるとめぐっていた思考に割り込むように聞こえてきた声に反応し、しばし考えて母の膝から降り、泣いて羨ましいだのなんだのわめく子供に近寄った。さらり、と手触りの良い銀色の髪に触れる。目に水分を貯めて見上げてくる弟は女の子かと思うほどに可愛らしい。母譲りの美貌でこのまま育ってもらいたいものだ。
「ほら、シアン、なかないの」
「でも、ははうえばかりずるい。ぼくもひざのうえにのせたい!」
そっちかよ!びしっと突っ込みたいがそこは我慢し、「わがままいわないの」と弟であるシアンの頭をぎゅうっと抱え込んだ。なにするんだよ、なんて言いながらも嬉しそうに抱きついてくる弟は本当に可愛らしい。それをほほえましく眺めている父と母もいて、なんて幸せなことだろう、と思う。それと同時に、何故前世の記憶をもって生まれてきてしまったのだろう、と。
前世の記憶さえなければこの体の自我は自由に育ち、この立派な父と母の子として育っただろうに、何故、記憶を持って生まれ変わらなければならなかったのだろう。自分はあそこで終わってしまえばよかったのに、そもそもあそこで終わることが普通のことであるというのに。何故。
「ほら、子供はそろそろ寝る時間だぞ」
「ちちうえ」
「どうした?アルと一緒に寝るんだろう?」
「・・・ちちうえとねる」
「・・・!!!!」
「ずるいちちうえ!ぼくもいっしょにねる!!」
「ふふふ、ではみんな一緒に寝ましょう」
何故、またもや知っている世界にいるのだろう。
ここはファレナ女王国だ。
「シアン、そんなにくっつくとねにくいよ」
「ぼくはへいきだもん」
「・・・ちちうえ、ははうえー」
「ほら、シアン、もう少し父のほうによりなさい」
「やだ」
「シアン、父の近くはいやなのか・・・?」
「じゃあわたしがちちうえのちかくにいくー」
「それもやだ!」
「シアン?!」
「ふふふふ」
どうして、王子の双子の姉として生を受けているのだろう。
さらり、と見慣れない自分の銀髪にため息をついた。ついでにぎゃーぎゃー騒ぐ男たちにも。
転生幻水5!!!
ネタがね!あるんですよね!!!転生のほうが面白いから転生させてみたっていうね!!!!!やっちまった感がたまらねぇ具合です。はい。
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