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ふらっと徒然に。
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 「んもぅ~面倒くさいなぁ」

 ノアの一族と交戦中のことだ。
 ロード・キャメロットが面倒くさがってなにか大きな技を出そうとしているのに気付いた。ざっとアクマと戦っている仲間をみる。師匠はそんなに怪我はないけど遠い。マリアン先生は後方支援という名のやりたい放題で問答無用で銃をぶっ放しているから論外。弟子のアレンは傷だらけだし神田もしかり。ていうかみんな遠いんだよ!
 止めるのは自分しかいない。

「クソッ」

 悪態をついて足に力をいれる。イノセンスで強化された体は一息でロード・キャメロットの懐まで踏み込む。気付かれていないとでも思ったのか、ロード・キャメロットは目を見開いた。
 だが、もう遅い。
 ぐっとイノセンスを握る手に力をこめて横薙ぎにはらう。ガキィッと甲高い音を立てて寸前で防がれたが、発動しようとしていた術はぐにゃりと形を変えた。
 よし、防げた!!
 傘が何やらわめいているが知ったことか。さっさと距離を、・・・距離を?

「え?」
「ちょっなにしてくれてんの?!」

 いくらなんでもこれは酷いよぉ!!なんて珍しくロード・キャメロットがあわてた声をあげた。力を抑えようとしているようだがうまくいっていないようだ。師匠までもが目を見開いて、何かを叫んでいるようだが聞こえない。なんにも聞こえない。なにもわからない。目の前には空間が歪んだ関係でか、ぽっかりと黒い穴があいていることしかわからない。
 驚きのあまり動けずにいたその一瞬が命取りだった。

「空!!!」

 この声は誰だったのだろう。その声を最後に黒い穴に吸い込まれた。


***


 思わず目を閉じて数秒。吸い込まれて引っ張られている感覚がなくなったと思ったら一瞬の浮遊感の後に背中から落下した。条件反射で受け身をとってばちっと目を開ける。

「・・・・」

 ぴちちち、と小鳥のさえずりが聞こえる。視界いっぱいに広がる空は、先ほどまでの重苦しい曇天ではなく、きれいな青色をした快晴だ。落下した割に背中が痛くないのは低いところから落ちたためだろう。
 下は地面だし、高いところから落ちなくてよかった。そんなことを考えつつも長々と倒れているわけにもいかず、上半身を起こす。まずは状況を把握せねば、と周りを見渡して悟った。なるほど、どうやらまた世界を移動したようだ。
 ていうか、おい。

「・・・・・・・・・・・・」

 空気がめちゃめちゃ痛い。
 自分を真ん中に、左右にどうやら手合せをしていただろう男が二人、目を丸くしてこちらをみている。目の前にはなにやらファンタジー漫画にでてきそうな王宮の渡り廊下のようなものがあるし、そこで手合せを観戦していただろう人が何人かいる。やはり目を丸くして口は半開きだ。赤髪の御嬢さん、可愛らしいお顔がもったいないことになっておりますよ。

「何者だ」

 左の方から男性、と呼ぶにはまだ早い少年が毅然とした声を言葉を投げかけてきた。その言葉に兵士が気を持ち直し、自分を囲むように即座に展開する。握ったままのイノセンスに呼びかけても反応はないし、これは大変好ましくない状況だ。
 ざっと気配を読む限り相手にできない人数ではない。しかし負っている傷を考えると相手にはしたくない。なかなかに厳しいなぁ。

「・・・空」
「ソラ?」
「自分の名前です。何者かと、お聞きになられましたね。その答えです」

 ゆっくりと立ち上がり、敵意はない、とばかりに両手を挙げて答えた。イノセンスはいつものように小さくなって武器には見えないから丸腰に見えているはずだ。そもそもイノセンスが反応しないから丸腰なのだが、きっと無茶をすれば呼応してくれるだろう。

「そういうことを聞いているわけではない」
「わかっておりますとも」

 今度は反対側の男から、ぴりっとした剣呑な気をぶつけられる。
 言いたいことはわかる。わかるが、如何せん、自分でもよくわからない。よくわからないことをどうやって説明しろというのだ。困ったなぁ、と高まっていくその場の緊張感と殺気に小さくため息をついた。
 どうしようかねぇ。そう困り果てて、何気なしにイノセンスを撫でた時だ。

「ッ!?」

 突然イノセンスが形を変えた。発動している。何故?そんな風に呼びかけてはいないのに!!

「チックソがッ」

 やめろ!!!
 ありったけの拒絶をイノセンスにぶつけて暴発とも呼べる呼応を収める。この数秒の間に周りはいろいろな指示が飛びかい、臨戦態勢となっていた。一瞬にして取り囲まれてしまった。その素早さによく訓練されている猛者たちだということがわかる。
 もうなにこれいやだ。

「もー、正当防衛ってことでよろしくお願いします!!」

 半泣きになりながら向かってくる兵士の剣を奪い、応戦した。
 てか傷やばいっての。



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名前がでてこないっていう。
舞台は赤髪の白雪姫です。
リハビリを兼ねて書いてみました。
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