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可笑しいな、とは感じていた。でもそれはふとした瞬間に感じるものだったから、そこまで気にせず、すでに組まれていた練習試合が終わってからでいいだろうと考えていた。
それがいけなかった。
「 !! ?!!!」
一瞬目の前が真っ暗になって、言葉にならないような声で叫んだ。
***
「おっす」
「・・・」
むいてもらった林檎を一口齧り、駆け込んできた紫原に一言かけた。バスケ以外で珍しく息を切らせて、乱暴に開け放たれた扉の前に突っ立っている。普段の彼は、やれおなかすいたお菓子頂戴~だの汗かくの嫌い~だの言って雰囲気も行動もひどくゆったりとしたものなのに、バスケ以外でも動けるんだなぁ、ともう一度林檎を齧った。
紫原は一瞬だけ目を見開いて、次の瞬間には眉根を寄せて不機嫌そうな顔で伝う汗を拭うと、そのまま無言でベッド脇まで乱暴に歩いてきて、やはり乱暴にパイプ椅子に腰を下ろした。
「・・・空、私飲み物買って来るね。忘れちゃった」
「あ、ごめんね、ありがとう。売店は1階だから」
紫原とベッドを挟んで対面するように座っていた友達の気遣いに申し訳なさを感じつつ、へらり、と笑って部屋から送り出す。紫原は不機嫌そうな顔のまま、ポケットから飴を取り出して食べ始める。紫原にしては珍しく、飴をばりばりと噛み砕いている。相当機嫌が悪いようだ。これは友達を送り出して正解だったなぁ。
「紫原、授業はどうしたの?」
「そんなん受けてらんないし」
「赤点とったら試合でれないじゃん」
「取るわけねーし」
「今日はずいぶん機嫌悪いね」
「空ちんはずいぶん平気そうだね」
やっと目があったかと思えばじとり、と不機嫌な眼差しをぶつけられる。おやまぁ、思った以上に機嫌が悪いようだ。紫原は二つ目の飴を口に放り込むが、やはり噛み砕く。どうしたものか。いや、本当、どうしよう。
「空ちん、足」
ぺいっと適当にベッドの上に放られた飴のゴミを集めてゴミ箱へ捨て、内心冷や汗をかきつつかけられた声に反応して視線を戻せば、紫原の視線は左足を固定するギプスに注がれていた。
白く、固いギプスだ。靭帯断裂した足首を固定する、ギプス。
それを睨む紫原に苦笑する。本当、懐かれているなぁ。
「靭帯をね、切ってしまったんだよ。着地に失敗しちゃってね」
「相手チームとの接触もあったって聞いた」
「んーまぁあったけど、さしたる問題じゃないよ。ちょっとした違和感は数日前からあったし」
「なんですぐ病院いかなかったのさ」
「この間の練習試合終わったらいこうと思ってたんだ」
「遅いよ」
「そうだね、遅かったね」
「接触が止めだったんじゃない」
「そういうこというもんじゃないよ、紫原」
ぼすっと上半身をベッドに投げ捨てるように倒れこむ。衝撃が足に響いたけど、紫原の言葉が胸に突き刺さってそれどころではなかった。
「・・・バスケ、できるの」
どぐん、と大きく聞こえた気がする。するりと耳から滑り込んできた言葉は、そのままお腹の下辺りまで落ちて、ひどく重い。紫原の体重など問題じゃないくらい、重い。
「・・・」
「・・・空ちん、俺、空ちんがバスケしない姿は見たくないなぁって思う」
泣くかと思った。
「そ、そうだね、バスケ、したいなぁ・・・」
ひくり、と喉が引きつって、声が震えないように、声が裏返らないようにと息をするのに精一杯だった。
紫原はこちらを見ない。依然と視線はギプスに注がれたまま、自分は紫原の後頭部に注がれたまま。
「・・・日常生活には支障ない程度までは回復するけど、バスケみたいな激しいスポーツをするには手術とリハビリが必要で、そうなると在学中はバスケできないんだって、さ」
「やだ」
紫原は一言だけ、そういって何も言わなくなる。自分も、何も言わない。
部屋の外から聞こえる雑多な音、話し声が急に遠くなるような気がした。この部屋の空間だけが切り取られて、窓から差し込む夕陽が部屋をオレンジ色に染め上げて、ここ数日お世話になっている部屋だというのに、異空間に放り込まれたような気持ちになった。
ただ、無感情にきれいだな、と思った。
「・・・やだ」
ぐすり、と鼻をすする音を聞いて、「わがままだなぁ」なんて返した。
============================
怪我します。そして中学の間はバスケできなくなります。
予定通りだけどまさかむっくん相手に書く事になるとは思いもせず。
友達はカオスで楽しいことになっているので、出演していただきました!
ありがとうございますすっごい楽しいです!!!!そのうちうちの子視点を投下したいところです。
高校編は書くかどうか悩んでます。
ていうか、ここから弱/虫ペ/ダルへ移行してくクロスオーバーを思いついてしまってそっちに思考がもってかれてます。
両方かくなら分岐かな~。
よわぺだは東堂さんと幼馴染設定。母親の実家が東堂さんちの実家の近所で母方のおばあちゃんが東堂さんちで働いてたもんだから幼い頃はよく一緒に遊んでいたし、父親は海外出張大目で母親と祖母と三人で暮らしてたっていう感じで。中学あがる頃に出世して出張もほとんどなくなったから引っ越して進学先は帝光へ。小学校の頃からバスケはしてたけど、東堂さんのあのテンションに引きずられて自転車もやりはじめちゃって、朝はランニングじゃなくて自転車でガーーーーッと走りに行ってたもんだからそこそこ乗れる。夏休みはおばあちゃん家に帰って、そこから練習しに帝光に通ってた。んで休みの日とかは東堂と一緒に自転車乗り回してたりするといいな。
怪我してからはおばあちゃんちに手術なりリハビリなりで帰らず、東堂と会わないため東堂は事情を知らず。携帯は持たなかったし家電は教えてないし聞きもしなかったからおばあちゃんに東堂は聞くけどはぐらかされてハコガクに進学する東堂。
ここで分岐。黒バスだとどこでもいいな~~。よわぺだだとハコガクへ。
ハコガク進学なのは少しでもみんなと離れたかったから。一緒に青春してたしめっちゃ気遣われて嫌になったとか、一緒にプレイできないしプレイしたくなるようなバスケじゃなくなったしでばらっばらに。ここで東堂と再会してなぜか妹扱いを受ける。ちなみに東堂はこの時点で2年生。ハコガクは寮だけど実家から通えるからそっちで通うことにして、たまに東堂とかるーく乗りにいくぐらいしてそう。その頃にはリハビリでよくなって自転車くらいならって感じになってる。
そして忘れ物を部室に届けにきたところからハコガク編スタート。
ていう妄想してます。
荒北さんとまなみが中心ですね。
あーー楽しいなぁ。
その気になったら書きます。
ていうか幻水すすまねぇ。。。。
それがいけなかった。
「 !! ?!!!」
一瞬目の前が真っ暗になって、言葉にならないような声で叫んだ。
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「おっす」
「・・・」
むいてもらった林檎を一口齧り、駆け込んできた紫原に一言かけた。バスケ以外で珍しく息を切らせて、乱暴に開け放たれた扉の前に突っ立っている。普段の彼は、やれおなかすいたお菓子頂戴~だの汗かくの嫌い~だの言って雰囲気も行動もひどくゆったりとしたものなのに、バスケ以外でも動けるんだなぁ、ともう一度林檎を齧った。
紫原は一瞬だけ目を見開いて、次の瞬間には眉根を寄せて不機嫌そうな顔で伝う汗を拭うと、そのまま無言でベッド脇まで乱暴に歩いてきて、やはり乱暴にパイプ椅子に腰を下ろした。
「・・・空、私飲み物買って来るね。忘れちゃった」
「あ、ごめんね、ありがとう。売店は1階だから」
紫原とベッドを挟んで対面するように座っていた友達の気遣いに申し訳なさを感じつつ、へらり、と笑って部屋から送り出す。紫原は不機嫌そうな顔のまま、ポケットから飴を取り出して食べ始める。紫原にしては珍しく、飴をばりばりと噛み砕いている。相当機嫌が悪いようだ。これは友達を送り出して正解だったなぁ。
「紫原、授業はどうしたの?」
「そんなん受けてらんないし」
「赤点とったら試合でれないじゃん」
「取るわけねーし」
「今日はずいぶん機嫌悪いね」
「空ちんはずいぶん平気そうだね」
やっと目があったかと思えばじとり、と不機嫌な眼差しをぶつけられる。おやまぁ、思った以上に機嫌が悪いようだ。紫原は二つ目の飴を口に放り込むが、やはり噛み砕く。どうしたものか。いや、本当、どうしよう。
「空ちん、足」
ぺいっと適当にベッドの上に放られた飴のゴミを集めてゴミ箱へ捨て、内心冷や汗をかきつつかけられた声に反応して視線を戻せば、紫原の視線は左足を固定するギプスに注がれていた。
白く、固いギプスだ。靭帯断裂した足首を固定する、ギプス。
それを睨む紫原に苦笑する。本当、懐かれているなぁ。
「靭帯をね、切ってしまったんだよ。着地に失敗しちゃってね」
「相手チームとの接触もあったって聞いた」
「んーまぁあったけど、さしたる問題じゃないよ。ちょっとした違和感は数日前からあったし」
「なんですぐ病院いかなかったのさ」
「この間の練習試合終わったらいこうと思ってたんだ」
「遅いよ」
「そうだね、遅かったね」
「接触が止めだったんじゃない」
「そういうこというもんじゃないよ、紫原」
ぼすっと上半身をベッドに投げ捨てるように倒れこむ。衝撃が足に響いたけど、紫原の言葉が胸に突き刺さってそれどころではなかった。
「・・・バスケ、できるの」
どぐん、と大きく聞こえた気がする。するりと耳から滑り込んできた言葉は、そのままお腹の下辺りまで落ちて、ひどく重い。紫原の体重など問題じゃないくらい、重い。
「・・・」
「・・・空ちん、俺、空ちんがバスケしない姿は見たくないなぁって思う」
泣くかと思った。
「そ、そうだね、バスケ、したいなぁ・・・」
ひくり、と喉が引きつって、声が震えないように、声が裏返らないようにと息をするのに精一杯だった。
紫原はこちらを見ない。依然と視線はギプスに注がれたまま、自分は紫原の後頭部に注がれたまま。
「・・・日常生活には支障ない程度までは回復するけど、バスケみたいな激しいスポーツをするには手術とリハビリが必要で、そうなると在学中はバスケできないんだって、さ」
「やだ」
紫原は一言だけ、そういって何も言わなくなる。自分も、何も言わない。
部屋の外から聞こえる雑多な音、話し声が急に遠くなるような気がした。この部屋の空間だけが切り取られて、窓から差し込む夕陽が部屋をオレンジ色に染め上げて、ここ数日お世話になっている部屋だというのに、異空間に放り込まれたような気持ちになった。
ただ、無感情にきれいだな、と思った。
「・・・やだ」
ぐすり、と鼻をすする音を聞いて、「わがままだなぁ」なんて返した。
============================
怪我します。そして中学の間はバスケできなくなります。
予定通りだけどまさかむっくん相手に書く事になるとは思いもせず。
友達はカオスで楽しいことになっているので、出演していただきました!
ありがとうございますすっごい楽しいです!!!!そのうちうちの子視点を投下したいところです。
高校編は書くかどうか悩んでます。
ていうか、ここから弱/虫ペ/ダルへ移行してくクロスオーバーを思いついてしまってそっちに思考がもってかれてます。
両方かくなら分岐かな~。
よわぺだは東堂さんと幼馴染設定。母親の実家が東堂さんちの実家の近所で母方のおばあちゃんが東堂さんちで働いてたもんだから幼い頃はよく一緒に遊んでいたし、父親は海外出張大目で母親と祖母と三人で暮らしてたっていう感じで。中学あがる頃に出世して出張もほとんどなくなったから引っ越して進学先は帝光へ。小学校の頃からバスケはしてたけど、東堂さんのあのテンションに引きずられて自転車もやりはじめちゃって、朝はランニングじゃなくて自転車でガーーーーッと走りに行ってたもんだからそこそこ乗れる。夏休みはおばあちゃん家に帰って、そこから練習しに帝光に通ってた。んで休みの日とかは東堂と一緒に自転車乗り回してたりするといいな。
怪我してからはおばあちゃんちに手術なりリハビリなりで帰らず、東堂と会わないため東堂は事情を知らず。携帯は持たなかったし家電は教えてないし聞きもしなかったからおばあちゃんに東堂は聞くけどはぐらかされてハコガクに進学する東堂。
ここで分岐。黒バスだとどこでもいいな~~。よわぺだだとハコガクへ。
ハコガク進学なのは少しでもみんなと離れたかったから。一緒に青春してたしめっちゃ気遣われて嫌になったとか、一緒にプレイできないしプレイしたくなるようなバスケじゃなくなったしでばらっばらに。ここで東堂と再会してなぜか妹扱いを受ける。ちなみに東堂はこの時点で2年生。ハコガクは寮だけど実家から通えるからそっちで通うことにして、たまに東堂とかるーく乗りにいくぐらいしてそう。その頃にはリハビリでよくなって自転車くらいならって感じになってる。
そして忘れ物を部室に届けにきたところからハコガク編スタート。
ていう妄想してます。
荒北さんとまなみが中心ですね。
あーー楽しいなぁ。
その気になったら書きます。
ていうか幻水すすまねぇ。。。。
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