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何かとうるさい連中をのらりくらりとかわして、リハビリに徹したの良かったらしい。当初告げられていたリハビリ期間よりも早めに回復したらしく、運動も、バスケもしても良いと、医者からの許しが卒業前に出たのだ。高校へと進学してもしばらくはかかるだろうと言われていたから、随分と早いなぁと思ったのは自分だけでなく、何かと心配してくれていた周りも驚き、喜んでくれた。
体育会系な自分も喜んでいそいそとランニングへ出かけたり、お世話になっていた道場にも顔を出したりと、久しぶりに自由になった体を満喫した。進学先は無事に決まっていたし、何も心配することもなく日々を過ごした。
卒業式当日は、それなりに友好を深めていた友達と騒ぎ、高校へいってもたまには集まろうだとか、真新しい携帯を持ってメアドの交換だとか、定番のイベントを笑顔でこなし、少しだけ泣いた。
そこに彼らの姿はなく、バスケットボールを触ることは一度もなかった。
■■■
何度経験したかなぁ、なんて思うけどそれほど回数を重ねていないことに気づき、そもそも高校の入学式を何度も体験するなんて可笑しな話だと、そう思い直した。
ストライプが入った真新しいブレザーは少し大きめで、裾が少し余る程度に作られている。これはまだ成長するだろうという父の見込みだったが、もうしなくても良いというのが正直な気持ちだった。
バスケはやめた。身長はもう必要ないのだ。バスケに力を入れているとはいえない学校を選んだとはいえ、身長が高いというだけで勧誘されることもあるはずだ。それを考えると、もう打ち止めにしてもらいたかった。毎年の身体測定で数ミリづつ伸びる自分の背が憎らしいったらない。十分、平均身長は越しているのだから、さっさと止まってしまえばいいものを。牛乳を飲むのをやめれば良いのだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えて、やはり牛乳をやめようと、入学式の長い話を上の空で聞き流していた。校長の話だとか、昔から苦手だったんだよなぁ。とにかくお偉いさんの、小難しい話が苦手で集中できた試しがない。いつの世もどの時代も、この辺は変わらないのだと大きく欠伸をした。
■■■
事前に確認しておいた自分のクラスに移動し、出席番号順に座るようにと黒板に書かれた指示に従って、席を探す。見つけた席はちょうど真ん中らへんで顔を顰めるが、少しだけ窓側よりだったので、廊下側よりはましか、と思い直して座る。
さて、どうしたものか。体育会系ではあるが、社交性があるとは言いがたく、人見知りの激しい自分が早々にこのクラスになじめるとは思えない。何度繰り返しても根本は変わるはずなく、そのたびにこうして悩んできたが、いつもなんだかんだどうにかなっていたことを思い出す。悩んでいると変な人間に目をつけられ、巻き込まれ、気づくと回りと打ち解けていたりしていたっけ。そういうことが多くて、多すぎて、普通の初対面での知り合い方というのがよくわからなくなっていることに気づいた。
ざっと教室を見渡すと、今回はそんな変な人間はいなさげであることに喜んだ矢先にこれだ。普通の学生生活を送れるはずのことが、逆に困り果てることになるとは。すっかり毒されている。自分の巻き込まれ体質による非日常に。
平凡に生きたいと願っておきながら、いざ平凡を目の前にすると戸惑うなんて。ある意味での非日常に慣れすぎたせいだ。
あぁ、でも、普通の学生生活を送れるなんて、純粋に嬉しいなぁと、口角を緩く吊り上げて始業のチャイムを聞いた。
新しい生活を送ることになる箱根学園入学式初日は、ぼんやりとするだけで終わった。
(まだ全然決めてなくて、とりあえず入学させてみた。)
体育会系な自分も喜んでいそいそとランニングへ出かけたり、お世話になっていた道場にも顔を出したりと、久しぶりに自由になった体を満喫した。進学先は無事に決まっていたし、何も心配することもなく日々を過ごした。
卒業式当日は、それなりに友好を深めていた友達と騒ぎ、高校へいってもたまには集まろうだとか、真新しい携帯を持ってメアドの交換だとか、定番のイベントを笑顔でこなし、少しだけ泣いた。
そこに彼らの姿はなく、バスケットボールを触ることは一度もなかった。
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何度経験したかなぁ、なんて思うけどそれほど回数を重ねていないことに気づき、そもそも高校の入学式を何度も体験するなんて可笑しな話だと、そう思い直した。
ストライプが入った真新しいブレザーは少し大きめで、裾が少し余る程度に作られている。これはまだ成長するだろうという父の見込みだったが、もうしなくても良いというのが正直な気持ちだった。
バスケはやめた。身長はもう必要ないのだ。バスケに力を入れているとはいえない学校を選んだとはいえ、身長が高いというだけで勧誘されることもあるはずだ。それを考えると、もう打ち止めにしてもらいたかった。毎年の身体測定で数ミリづつ伸びる自分の背が憎らしいったらない。十分、平均身長は越しているのだから、さっさと止まってしまえばいいものを。牛乳を飲むのをやめれば良いのだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えて、やはり牛乳をやめようと、入学式の長い話を上の空で聞き流していた。校長の話だとか、昔から苦手だったんだよなぁ。とにかくお偉いさんの、小難しい話が苦手で集中できた試しがない。いつの世もどの時代も、この辺は変わらないのだと大きく欠伸をした。
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事前に確認しておいた自分のクラスに移動し、出席番号順に座るようにと黒板に書かれた指示に従って、席を探す。見つけた席はちょうど真ん中らへんで顔を顰めるが、少しだけ窓側よりだったので、廊下側よりはましか、と思い直して座る。
さて、どうしたものか。体育会系ではあるが、社交性があるとは言いがたく、人見知りの激しい自分が早々にこのクラスになじめるとは思えない。何度繰り返しても根本は変わるはずなく、そのたびにこうして悩んできたが、いつもなんだかんだどうにかなっていたことを思い出す。悩んでいると変な人間に目をつけられ、巻き込まれ、気づくと回りと打ち解けていたりしていたっけ。そういうことが多くて、多すぎて、普通の初対面での知り合い方というのがよくわからなくなっていることに気づいた。
ざっと教室を見渡すと、今回はそんな変な人間はいなさげであることに喜んだ矢先にこれだ。普通の学生生活を送れるはずのことが、逆に困り果てることになるとは。すっかり毒されている。自分の巻き込まれ体質による非日常に。
平凡に生きたいと願っておきながら、いざ平凡を目の前にすると戸惑うなんて。ある意味での非日常に慣れすぎたせいだ。
あぁ、でも、普通の学生生活を送れるなんて、純粋に嬉しいなぁと、口角を緩く吊り上げて始業のチャイムを聞いた。
新しい生活を送ることになる箱根学園入学式初日は、ぼんやりとするだけで終わった。
(まだ全然決めてなくて、とりあえず入学させてみた。)
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